薩摩 研斗 指揮科(71期卒)

卒業生インタビュー

活躍する先輩たち
Kento Satsuma
Message from Graduates

薩摩 研斗

71期 指揮科卒
兵庫県神戸市 出身

現在の活動について

今の通っている学校、活動について教えてください。

今通ってる学校は、チェコのブルノにあるヤナーチェク音楽院というところで、今は指揮専攻とピアノ専攻です。コロナ禍の影響で、平日は毎日オンラインで大学の授業を受けています。

どのような経緯で、音楽留学することを決意されましたか?
堀音の2年生のときに、ヨーロッパ修学旅行で、ブルノとウィーンに行き、ちょうどヤナーチェク音楽院でマスターレッスンを全員受けるんですけど、そのときの指揮の先生にすごい気に入ってもらって、ぜひチェコにおいでって言われたんで、流れに乗って行ったって感じです。

ヨーロッパ留学してみて日本との違いを感じることはありますか?
チェコは、やっぱりヨーロッパでクラシック音楽の本場なんで、空気感というか、文化的なものが日本と違っていて、音楽がより生活に近いところにあります。クラシックが、市民の文化にもっと深く浸透しています。特に、オペラが文化に根付いていて、チェコ人がみんな知ってるオペラとか、この歌は絶対歌えるみたいなのがあったりして、おもしろいです。音楽的にも新しいことの連続です。

あと、チェコでは、音楽家の立場がすごく保障されているような気はします。チェコは学生に優しくて、国立大学は学費がかからず、僕のような外国⼈の留学⽣も学費がいらないので、様々な国の留学生がたくさんいます。

⼀緒にアンサンブルなどもするんですけど、すごい楽しいですね。なんかお互いの個性をぶつけ合う感じで、演奏していても⼀⼈ひとり曲に対する考えがすごい深くて、僕は「これはこうだと思うよ」みたいに、しっかり⾔い合うので、逆にこっちももっと考えないといけないなと思います。今度指揮をさせてもらうときも、自分の意見をしっかり伝えることを意識しようと思っています。

音楽との出会いから堀音入学まで

そもそも、音楽は何歳から始められましたか?そのきっかけは?
⾳楽は3歳から始めました。僕の場合は、何かこれといったきっかけはないんですけど、なぜか⾳楽がすごい好きなこどもだったんです。お⽗さんお⺟さんも、⾳楽は全くやってないんですよ。楽器はピアノが最初です。それから8歳でヴァイオリンも習い始めて、それからいろいろな楽器に拡大していく中で、いつの間にか指揮をやってみたいなって思って。

指揮は、音楽高校へ入る前から勉強できるものなのですか?
堀⾳の中学生向けの学校説明会の時に、藏野先⽣にお会いして、指揮を勉強したいと⾔ったら、指揮の先⽣を紹介してもらいました。それで中学2年⽣ぐらいから指揮を勉強しはじめました。

堀音に入学したいと思ったのはいつ頃ですか?
中学2年⽣ぐらいに、堀⾳には指揮科があるっていうのを知って、⼊ってみたいなって思いました。僕兵庫県の神⼾市なんですが、 東京は遠いんで、関⻄のどっかにしようかなと思っていました。近くに県⽴⻄宮⾼校音楽科があって、そこか堀⾳に⾏くかで迷ったんですけど、堀⾳の⽅が、指揮科があっていいなと思ったんです。

最終的に、堀音に進路を決める前に、迷いや悩んだことはありますか?
⾳楽家を志すってことは、普通の仕事とは違うので、 ⾳楽家になるっていう覚悟を中学⽣でしていたように思います。受験だけでなく将来も音楽を頑張ろうとはその時思いました。 すごく理解のある両親なんで、受験には反対はされませんでしたし、迷いや悩んだことはありませんでした。 もうその時すでに⾳楽家になる決⼼ができていたんですね。やっぱり⾳楽が好きなんで、今も好きなことやってるんでまあいいかなと思っています。

堀音での経験について

良かったこと Top3
1番は、やっぱり、⾳楽仲間とたくさん出会えたことですかね。 堀音の友人とは今もよく電話して、お互いこれ頑張らななとか、いろいろ⾳楽について語り合ったりとかできるんで、それはいい経験ですね。あと先輩とか後輩とかも繋がりがすごい。すごく活躍している先輩とかを⾒て、⾃分も頑張らないとなって思えたりとか、そういうのがあるんでいいですね。

2番⽬は、堀⾳はソルフェージュ・視唱とか、聴⾳とかにすごい⼒を⼊れているので、この学校で学んだら、世界に通⽤するソルフェージュ⼒は⾝につけられると思います。 チェコの学校でのソルフェージュの内容は、堀⾳の受験レベルの内容と同じぐらいです。 逆に⾔うと、堀⾳受験のときに、ソルフェージュを⼗分勉強しておかないといけない。

3番目は、施設がすごく恵まれてて、ピアノがある教室、レッスン室がたくさんあるんで、練習環境がすごい整っていることです。

ちなみに今ヨーロッパに留学されてて、そこと比べていかがですか?
堀音のピアノの質がすごく⾼いですね。向こうのピアノはボロボロで、もう⾳がならないピアノとかが多いんです。だから、今思えば、ものすごくいい環境だったなと思います。

高校生活で残っている思い出は?
やっぱりヨーロッパ研修旅⾏ですかね。堀⾳で⼀緒に学んでいる40⼈で、ヨーロッパに⾏って現地の空気に触れて、いろいろ勉強できたんで、とてもよかったと思います。そこで教えてもらった指揮の先⽣との出会いが、今の留学に直接繋がり、チェコで勉強できることになったのですから。⾳楽家⼈⽣の転機になったと思います。

堀音だから成長できた部分はありますか?
普通の公⽴⾼校と⽐べて、⼀学年40⼈しかいなくて、個⼈個⼈で⾃主的にすごくいろいろできる学校なので、⾃分から自由に意⾒を主張する⼒が培えます。⾵通しもいいですし、⾳楽を志す仲間がいっぱいいて、やっぱりその辺りは中学のときの仲間とはちょっと違うんです。みんなプロを⽬指してるんで、将来のことなどいろいろ話せるのでよかったなと思います。

堀音では、指揮者として1年生からいろんな演奏機会で活躍されていましたね。
堀⾳でオーケストラを指揮できた経験は、今にすごく⽣きてると思っています。普通の⾼校⽣はオーケストラでタクトを振れる機会なんて、1年に1回ぐら いしかないのに、僕は毎週のように授業の演奏とか振らせてもらってたんで。それは指揮の⼒だけではなく、⾃信にも繋がってるし、いい経験を積ませていただいたなと思います。堀音ではお客さんの前に⽴つ機会もとても多いです。⾼校⼊ったばかりの頃は舞台で割と緊張してたんですけど、この学校では、演奏会の機会をしょっちゅう持たせてもらえるんで、だんだん本番が楽しいことに変わってきましたね。緊張しなくなりました。

将来の抱負/夢について

将来の夢は?
夢としては、まだ、明確なこれといったものは決まってないんですけど、やっぱり、プロオーケストラを振る指揮者になり、ヨーロッパで活躍したい。

小学生・中学生へのメッセージ

最後に、音楽を志す小学生・中学生へのメッセージ・アドバイスがあればお願いします。
⾳楽を志すってことは普通じゃないし、今の時代から考えたらかなりリスキーなことかもしれないんですけど、やっぱり⼈⽣は⼀度きりだし、どうせなら好きなことやって⽣きようという思いで僕はこの世界に来ました。堀音へ来るとなったら,ある程度の覚悟を持ってきてほしいですけど、同時に音楽はすごい楽しい世界です。 苦しいけど楽しい世界。もしプロにならなくても、⾳楽は⼈⽣にすごい深みを与えてくれる⼀⽣の友となってくれると思うんで、ぜひぜひ、京都堀川⾳楽⾼校で学んでください。

プロオーケストラで振る
指揮者になり、
ヨーロッパで活躍したい。

薩摩 研斗

Kento Satsuma

略歴

神戸生まれ。2020年京都市立京都堀川音楽高等学校指揮専攻卒業。
幼少期よりピアノとヴァイオリンを学び、2013年第23回日本クラシック音楽コンクールピアノ部門第3位入賞、2015年第14回宝塚ベガ学生ピアノコンクール第3位入賞を果たす。
2020年チェコ国立ブルノ・ヤナーチェク音楽院に指揮・ピアノの両専攻の入学試験に合格。同時に6年飛び級で大学院への入学を許可され、現在同校に在学中。
指揮を、高谷光信、藏野雅彦、Rostislav Hališka, Robert Kružík, Jakub Klekcer、ピアノを麦谷和代、有馬みどり、岡部悦子、Jan Jirský、ヴァイオリンを蓮江久美子、西尾恵子、各氏に師事。

インタビュー実施日:2021年3月2日 現在の情報